新入荷ワイン紹介4 スロバキア・ストレコフの家族ワイナリー 〜 ストレコフの伝統白品種2種 〜
先週当ブログでご紹介し、一般発売も開始された新入荷ワイン。
おかげさまで非常によく売れております。ご注文いただいたみなさま、心から御礼申し上げます。ね、すんげー美味しかったでしょ?
さて、まだあります新入荷ワイン。
最後は同じくスロバキアから、ジューシーでミネラリーな、各個性が鮮明に光る白4種。
ストレコフの自然派生産者が手がけます。はいドン。
南スロバキア、ニトラ地方。Strekov(ストレコフ)。古くからのワイン造りの歴史が脈々と受け継がれ、近年では「スロバキアにおけるナチュラルワイン生産の最前線」とも称されている小さな村で、2006年、Tomás / Gabriel Kasnyik兄弟により家族ワイナリー・『Kasnyik』が設立される。
畑の多くは南向きに斜面を成し、そこに流れる絶妙なミクロクリマが流れる。土壌は主に粘板岩。鉱物と粘土が豊富に含まれ、ワインに良質なミネラルを付与する。
栽培から醸造まで、一貫してSO2に頼らないで済むワイン造りを信条とし、「ワイン醸造プロセス中の介入を最小限に抑えること」がKasnyikの掟。 人工酵母や酵素などを使わず天然酵母による発酵。SO2添加は瓶詰め時のみ極少量使用。房は全て取り除き果実のみによる浸漬。 全てのワインはノンフィルターで、健全なワインを届けるため慎重な澱引きを行う。
ストレコフのテロワール、ストレコフの天然酵母、ストレコフの伝統品種への熱いこだわり。
「僕らは『ストレコフのワイン』を造りたいんだ。それ以外のものはいらないよ」。 そう語るTomás・Gabriel兄弟の真摯な目は、自分の生まれ育った村への愛で満ちている 。
■畑面積:12ヘクタール
■土壌:粘板岩(スレート)
■認証機関:なし
■主要品種 ヴェルシュリースリング、グリューナーフェルトリーナー、リースリング、シェルドネ、ブラウフレンキッシュ、サン・ローラン、アリベルネ、デュナイ
これからご紹介する白4種から、
・グリューナー・フェルトリーナー
・ヴェルシュリースリング
は 特 に 輸入したかったんです。何があっても。
理由は単純。Kasnyik兄弟の熱い想いを直接聞いたからです。
↑ ここでも書いてますが、今一度引用します。
特にストレコフでは、グリューナーとヴェルシュリースリングが中心。むしろ、ここでこそ、その輝きを発揮する。
その流れで、以下のような懸念を話してくれました。しかしそれは同時に、信念でもありました。
「グリューナー」と「ヴェルシュリースリング」は、スロバキア全体でよく栽培されてる品種だ。
しかし、最近の主要な大メーカーは、この2品種を “安物” “質の低いもの” として扱っているように見て取れる。
彼ら大メーカーは、カベルネやシャルドネといった “国際品種” ばかりを次々と植えている。なぜかって、「売れるから」だ。
次の10年で、この傾向は激しくなっていくだろう。新しく、これら伝統品種を植える方向には進んでいないんだよ。
我々は「グリューナー・フェルトリーナー」と『ヴェルシュリースリング』、この2つの品種を引き継いでいきたいんだ。
ただ「栽培しやすいから」なのではなく、「テロワールに適合しているから」「これが貴重で、そして最高なんだから」という気概をもって、栽培しワインを造っているよ。
◆ 目次
というわけで行きましょう。
まずはストレコフの伝統品種、その一角から。
Grüner Veltliner, sur lie 2016
グリューナー・フェルトリーナーが私を呼んでいる。この品種、個人的に大好き、愛してる。
Grüner Veltliner(グリューナー・フェルトリーナー)、少なくともワインを普段飲まない方にとっては耳馴染みはないでしょう。
なんかプロレス技みたいですよね。グリューナー・フェルトリーナー・スープレックスホールドとかありそう。
グリューナーといえば、なんといってもオーストリア。スロバキアのお隣ですね。ほとんどの地域で栽培される白品種です。
“さっぱりフルーティ”系なものが多い中、“ドシッとまったり”系なものもよく見る。
つまり、テロワールや醸造方法によって様々な表情に変えることのできる品種ってことです。
ぐい飲み系のものでも、低価格で美味しいワイン結構ありますよ。ワイン好きの方は覚えておいて損はありません。
ラベル表記について
例によって、ラベル表記のお勉強。
『 Veltlínske zelené (ヴェルトリンスケ ゼレネ)』
ってのが、 『Grüner Veltliner(グリューナー・フェルトリーナー)』(国際表記)のスロバキア語表記となります。なんか通ずるものがありますな。
んで、『Sur Lie(シュール・リー)』 って表記がありますよね。これ、一種の醸造方法なんですが、本題ではないので適当に流します。
※簡単にいえば
Sur = On / Lie = 澱(オリ)
発酵後、役目を終えた酵母が、タンパク質など様々な成分と結びつき析出=澱となる。その澱を除去せずに、ワインに “漬け込んで” その旨味となる成分を引き出していく製法。
ワインに独特の香りや深みを生む。
って感じなんですが、まぁ気にしないでOKですよ。
『Grüner Veltliner sur lie 2016』テイスティング
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【外観】。けっこう色濃いめ。濃い目のイエローですな。
果実の甘みたっぷり感を思わせます。
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【香り】。いいですなぁ〜。シュール・リーの特徴がよく出ておりますぞ。
柑橘系ですが、成熟して甘やかなやつ。白桃っぽさもあって“旨い”香り
仄かにハーブが香って、バニラとか白胡椒のニュアンスがめっちゃ気持ちいい。
コメントとかどうでもいいから早く飲みたい。
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【味わい】。うんま。
やはり果実の甘み“たっぷり”といった趣き。淡い酸味がこのワインをコッテリとさせてない要因になってるかと。
口中に残る滑らかな苦味がまたいい感じ。旨みの残響に寄与してますね。
味わいはけっこう厚みを感じるんですが、余韻はそれとは異なり、フレッシュさを置いて帰っていくみたいなニクいやつ。こんな男いたら絶対モテる。見習おう。
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澱引きしただけのノンフィルターなんですが、実に綺麗な味わい。
厚みを感じさせながらフレッシュ感も残す。Kasnyikの実力の一端が伺える一口ですね。
スロバキア産、シュール・リーのグリューナー。
どうぞお試しあれ。
Welschriesling, Malý Strapec 2016
お次もストレコフ伝統品種、「ヴェルシュリースリング」。これも私好き。
ヴェルシュリースリングも、グリューナーと同じく様々な表情を見せる品種ですね。ぐいぐい飲むタイプが多いながら、たっぷりとヴォリューミーなものまであります。
グリューナーよりも知名度は低いかも。スロバキアではよく栽培されてます。
ラベル表記について
『 Rizling vlašský (リーズリング ヴラスキー)』
ってのが「Welschriesling (ヴェルシュリースリング)」(国際表記)のスロバキア語表記となります。
んで、気になるのが(お願いだから気にして)、『Malý Strapec(マリー ストラペック)』という表記。
これ、このワインを飲む上で知っておいてほしいスロバキア語です。
『Malý Strapec』=「小さい房」
ってな意味なんですが、使用されている特殊なヴェルシュリースリングに関係します。
※
Kasnyikの畑で栽培されるヴェルシュリースリング。その内の一角で、なぜか特殊な実を成す樹々があります。
普通のヴェルシュリースリングより、明らかに実が小さいんです。その樹からのみのブドウで造ったワイン、だから『Maly Strapec』と名付けられてます。
ブドウの味わいは、確かにヴェルシュリースリング。でも、やっぱりどこか異なる味わいだそうです。地元ストレコフの、他のどの生産者に食べてもらっても意見は同じ。
みな一様に首を傾げているそうです。
『Welschriesling, Malý Strapec 2016』テイスティング
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【外観】。これまた綺麗な色合い。
ノンフィルターでこれ。非常に丁寧な澱引き作業が目に浮かびます。
淡いゴールドって感じ。
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【香り】。これはなんとも表情豊かなアロマ。
フレッシュ柑橘やシトラスがきたと思ったら、今度は甘やかなリンゴの蜜とか。
さらに、仄かなバニラ香とナッティな香りもしっかり溶け合ってますな。
おじさんはわけわかんなくなっちゃうぞ。
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【味わい】。王道。奇を衒わず真っ直ぐ。ワインってこうだよね本来、って思わせる説得力。
ジューシーな酸味と、瑞々しい果実味。後口にスパイシーな風味。
余韻がまた素晴らしくて、柑橘とバニラ香が香ってきますな。
けっこう力強いはずなんですが、ついグイッと行きたくなるフレッシュ感。
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ストレコフ伝統品種に真っ向から向き合っているような、そんなことを感じさせられます。
「ヴェルシュリースリング」を引き出そうっていう意志がしっかりあるワイン。
ストレコフのヴェルシュリースリング、どうぞ皆様も向き合ってみてください。
残りは白2種。続きます。
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株式会社シェルドレイク 代表 ムラヤマ
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