ワイン不完全ガイド「シェルブロ」

戦わないワイン商 (株)Sheldlake代表村山による、ワインとかなんかそんな感じのブログ

新入荷ワイン紹介1 チェコ自然派の孤高 〜白2種・微発泡〜

羽田より、大いなる眠気を青空に放射中。

 

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みなさまこんにちは、私です代表です村山です。

 

また出張です。

出発ロビーにて、暗く濁った目でキーボードを叩いている虚無がいたら、それは私です。

 

 

ロビーを見回すと、出張族よりも旅行客とおぼしき人々が目につく。

私のタイピング音は彼らの発する喧騒に紛れ、私という一個の存在も「場」に埋没し溶け込んでいく。溶け込んでいる自分を斜め上数メートルから客観している私。

強く孤独を感じるのは決まってこんな瞬間。事務所で仕事してる時はいつも一人だけど、不思議と孤独を感じないというのに。

何よりの問題は、よりにもよって私はこういう孤独が嫌いじゃないわけで、こうして現在の根暗&引きこもり気質を内に抱いたキッチンの油汚れみたいな38歳おっさんが醸成されるのである。

 

何が言いたいかというと、「旅行とかふざけんな私と代われよマジで」ってことです。

パソコンを観光雑誌に置換し、栄養ドリンクをビールに変換し、「出張」が「旅行」に遷移していく、そんな妄想を加速させながら文をしたためています。

 

これについて

 

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スロバキア、そしてチェコより、やっとやっとこさ、ようやく日本に到着しました。

 

本来は去年末に輸入が完了している予定でしたが、のっぴきならない事情でだいぶ遅れてしまいました。その事情ってのが、分析証関連での遅れ。

 

現在、ヨーロッパのナチュラルワインは「ある問題」を抱えてます(もしかしたら中央ヨーロッパだけかもしれませんが)。

ワインそのもの、そして生産者のあり方に関わる問題と言えます。

これに関しては、また他の記事で書くかもしれません。

 

何にせよ、お待たせしてしまった顧客の方々には大変なご不便おかけしました。申し訳ございません。

 

気が気でありませんでした。

この2ヶ月半ほど、精神がゴリゴリ削れていく音を毎日聴き続けていました。

 

 

新ワイン紹介1 〜チェコ自然派の孤高〜

さて、いきなり新ワイナリーからのワインをご紹介。アジア初上陸です(というかチェコの周辺くらいしか輸出してません)。

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Petr MARADA ペトル マラダ

 チェコ南東部、Moravia地方(モラヴィア地方)。スロバキアとの国境にほど近くのMikulčice(ミクルチチェ)村に居を構える小ワイナリー。

 創立者のPetr Maradaは、バイオリニストにして醸造/栽培責任者。小さな村の小さなワイナリーで、ワイン造りを一手に担う。

 栽培面積は8ヘクタール。5年前より、ビオロジック栽培に完全転換。幼少の頃より、古くから農業を営んでいた曽祖父と耕作用の馬に乗り畑に出て、土を学んできた経験。これが現在の栽培知識/技術の基礎となっている。栽培においては、ブドウ樹・葉などの手入れは言うまでもなく、畑の雑草の量にも気を配り、調整に調整を重ねる日々。

 必要がなければノンフィルターで瓶詰め。フィルターをかける場合は、慎重な澱引きを最小限行うのみ。SO2も同じく、必要がなければ無添加。状態を見て、瓶詰め時のみに最小限使用。 

 醸造哲学は特になく、「ただ『介入はシンプルに、タイムリーに』これだけを考えている」。

 

■栽培面積:8ヘクタール

■ビオロジック農法

■認証機関:なし

■土壌:砂質(火山灰を含む,カルシウム量が多い)、黄土

■発酵:ステンレスタンク,フレンチオーク,アカシア

■熟成:フレンチオーク,アカシア

 ※フレンチオークは新樽は一切不使用。アカシア樽は敷地内で育てたアカシアから仕立てた樽を使用。

 

ワイナリー歴史や生産者に関しては、こちらの記事から。

 

現地視察で初めてマラダのワインを飲んだ私

この人は天才なんじゃ……?

 

日本の我が元にやって来たワインを試飲した私

この人は天才です(迫真

 

総評としてはこんな感じです。

 

細かいことは ↑ のリンクに預けるとして、早速行きましょう。

まずは白2種 ・ 泡 → オレンジ ・ 赤2種と連投します。

 

 

 

Blanc de Pinot 2016

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ブラン・ド・ピノ」と名付けられたこのワイン。白ワインでこの名前なら、ピンと来る人もいるはずですな。

そう、黒ブドウのピノ・ノワールを使用してます。そして使用品種はもう2つ。「 ピノ・グリ」「ピノ・ブラン」っていうピノ種一族で仕上げた白ワイン。

ピノの白=「ブラン・ド・ピノ」ってことですな。

 

視察時にこれを飲んだ瞬間、一発で輸入することを決めました。

 

■品種:ピノ・ノワール70%, ピノ・グリ15%, ピノ・ブラン15%

■熟成:アカシア樽で10ヶ月の熟成

■高カルシウムを含む黄土

■2016年は栽培するピノ・ノワールの95%が雹害を受けたため、その他の白品種とアッサンブラージュで仕立てることにした

 

まず際立つのは、アカシア樽熟成という部分。これは珍しいですね。

 

このアカシア樽、ペトル・マラダさんのおじいさんが80年前に植えたもの。植林した場所は、葡萄畑の敷地内。そのアカシアから樽を仕立てた、ってわけです。

 

その効果、というか威力のほどは後ほど。

 

 

『Blanc de Pinot 2016』テイスティング

シンプルなラベルで好き。いい顔してますね。バイオリンがモチーフ。バイオリニストですからね。

MARADAのラベルは、基本的にこれ一択。

 

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【外観】ってやつですが、結構濃いめ。黄金がかってますな。

この色合い見ると、果実の甘みを予感させますね。

 

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【香り】なんですが、もう“ボハァァ〜〜〜” って。 “ヴォハサ〜〜〜ン” って。伝わってます?

 

まず最初のインパクトは、なんといってもアカシアの蜜。アカシア樽由来の香りと、熟した果実のコンビネーション。 これがアカシアの蜂蜜のように感じさせてますね。

アカシア樽熟成が、こんなにも顕著にワインに反映されるとは。

他にも、花梨とか、リンゴの蜜の部分。あとは、ちょっっぴりスモーキーな樹皮のようなニュアンスも。

 

なんとも気持ちの良い香りです。

この香りのボディクリームあったら全身に塗りたくる。きっとたくさん蜂が寄って来る。そして私は死ぬ。

 

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【味わい】ですが、「アッッハァァ〜〜〜〜」ってキモい声がつい漏れ出るほどの、エクスタシーにも似た恍惚が私に訪れます。

 

香りから感じるように、蜜っぽい甘み柔らかな苦味。これが見事に調和してますね。エロい。

そして、その調和をグイグイ引っ張るしなやかな酸味。それがフレッシュさも感じさせ、旨みがじゅんわり広がります。抱いて。

最後にほのかにスパイシーな風味。ニクいねこの。

そして口中に残る旨味とコクの波。もう私を好きにして。

 

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2016年のピノ・ノワールは、ほとんどが雹害にやられちゃったからこそ、他の品種と混ぜて白で仕立てたわけです。

 

こういうバッドヴィンテージの時にこそ、ワイナリーの本当の“腕”が試されます。その点で言えば、見事の一言。

これを最初に飲んで「この人すげーかも」って思いましたが、これから↓でご紹介するワインたちも含めて、その第1印象は間違っていなかった。よくやったぞ、私。

 

芳醇な甘い香りと、旨みとコクたっぷりの『ブラン・ド・ピノ 2016』。

ぜひお試しアレ。

 

 

Riesling 2015

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さぁ紳士淑女のみなさま、リースリングですよ。

 

ワイン好きの中でも、“熱狂的”とも言えるほどにこの品種を追いかける愛好家がいらっしゃいます。

試飲会とか展示会で石でも投げてみてください。7投に1回はリースリング愛好家に当たるでしょう。怒られても私は知りません。

 

スロバキアにもリースリングはあります(よくは見ないけど)。今まで飲んだ「スロバキア リースリング」、美味しかったのは1件しかありませんでした。

■品種:リースリング 100%

■熟成:アカシア樽で8ヶ月の熟成

■火山灰混じりの砂質土壌、後期収穫

 

そこへ来ての「チェコリースリング」。

生産者はPetr MARADA。

土壌は砂質土壌。私は “砂質土壌のリースリング” は初めて飲みます。

そして、アカシア樽熟成。 

 

その力は如何なものかと。

 

結果、私の琴線が震えました。

 

『Riesling 2015』テイスティング

 

ラベルに『 Ryzlink rýnský(リーズリング リンスキー)とありますね。

これが『Riesling』(リースリング)のスロバキア / チェコでの表記。

その他、この辺りでは『 Rheinriesling 』(ラインリースリング)とも呼ばれます。

 

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【外観】。『ブラン・ド・ピノ』と同じく、黄金みがありますね。

こちらも甘やかな香りと果実味を予感させます。

 

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【香り】。甘やかな果実が “マフ〜〜〜ン”って。“ワゥル〜〜〜ン”って。伝わります? 「あ、今日はもう仕事忘れよ」って瞬時に思わせる芳醇な香り。

 

↑ にも記載しましたが、こちらもアカシア樽熟成。その効力が非常によく溶け込んでます。

花梨やリンゴに加え、アカシアの蜜。同時に仄かにスイカズラのような爽やかさも持ち合わせます。

しばらく「あっち側」が見えちゃうようなアロマ。

 

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【味わい】。「あ、もう仕事やめよ」って思わせる甘露な口当たり。

 

旨みのある果実味ですなぁ。甘やか、まろやか。なのに、すっきりドライな飲み口。

酸味は滑らかで、滑るように喉を通ります。

柔らかな果実と、甘いアカシアの風味が心地よくアフターに響きますね。

 

先ほどの『ブラン・ド・ピノ 2016』に比べて、ずっとまろやかな飲み口ってところが顕著です。

  

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アカシア樽熟成について色々お話ししました。

 

リースリングをアカシアで熟成させるなんてよく思いついたね

 

だって、このワインのブドウ畑で育ってたアカシアの木だよ? 合わないわけないよ

 

なんともシンプル。自然とは不思議なものですね。

 

甘露な果実味とまろやかな喉越し。

チェコのリースリング、ぜひご賞味あれ。

 

 

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ノンフィルター微発泡でございますお嬢様。

今までのデザインから一点、なんとも可愛らしく印象的なラベル。キャップは王冠です。

 

『リーズリング・ペトナ』と読みますが、先ほど出てきましたね、『Ryzlink』。

 使用品種を総称したワイン名ですが

 

・リースリング = Rizlink rýnsky 80%

・ヴェルシュリースリング = Rizlink vlašský 20%

 

っていうアッサンブラージュ。ここから付けられてます。

 

※ちなみに、「Riesling(リースリング)」と「Welschriesling(ヴェルシュリースリング)」は、遺伝子的にも全く無関係の品種

「ヴェルシュリースリング」って聞いた瞬間、反射的に「はいはいリースリングね知ってるぜ」って混合する方結構いらっしゃいますが、全くの別物ですぞ。味わいも香りも、その特徴はずいぶん違います。

 

本当にいいラベルですよね。女の子は誰をモチーフにしてるんでしょう。 

 

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【外観】ってことで、かなりの濁りがありますよね。いい感じです。

細かな細かな泡もイキイキと。

 

スロバキアでは毎年8月ごろ、ブルチャックという発酵中のワインが至る所で販売されます。その見た目に似てます。

 

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【香り】ですが、フレッシュなグレープフルーツ、そして甘やかな白花の香りも放つ、なんとも心地良い香り。

 

感覚のことなのでうまく伝えられませんが、この感じは「発泡が無くなっても美味しいやつ」って思い浮かびます。

 

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【味わい】。「めっちゃうめーなにこれ」以外の日本語をしばらくの間忘れました。

 

香りにあったフレッシュ感のあるグレープフルーツ、味わいではもう少し甘みがあります。にごりの旨みと瑞々しさがたまりません。

バランスも非常によく、酸味と甘み・コクのある苦味を微発泡がふんわりとまとめ上げるような。

 

これ、ちょっとでも油断したら一瞬でボトルが空になりますね。

 

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可愛らしいボトルから、その味わいもハードル上がっちゃいますが

その期待に十二分に応えてくれるノンフィルター微発泡。

 

多分早めに無くなります。お早めに。

 

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さて、お次はオレンジ、そして赤2種。

続きます。

 

 

※3月4日追記

チェコの自然派生産者・Petr MARADAの販売を開始しました。

 

皆様のご注文、心よりお待ち申し上げます。

Petr MARADA(ペトル マラダ)のワイン

 

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株式会社シェルドレイク 代表 ムラヤマ

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