ワイン不完全ガイド「シェルブロ」

戦わないワイン商 (株)Sheldlake代表村山による、ワインとかなんかそんな感じのブログ

人間が機械に支配されるディストピアへの道程

全日本健康志向トライブ連盟の皆様。

 

どうも、ヘルス村山です。

 

 

 

こんにちは私です代表です村山です。

一応、弱小ワインインポーターです。

 

 

あの、「ヘルス村山」って書いちゃってから気づきましたけど、あれですよ?「ヘルス」って夜の歓楽街のアレコレ的な方じゃないですよ? 夜な夜なソッチのヘルスで歓楽に身を陥落させてなんかいませんよ?

ヘルスケア」的な意味で打ちました。念のため、慌てて言い訳張ります。

 

 

おっさんの焦燥感 

最近ね、ちょこちょこランニングしてるんですよ。

 

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私も正真正銘のいいおっさんですからね。再来年40ですよ、40。シジュウです。もうほとんどチェ・ジウですね。チェ・ジウってなんでしたっけ?

 

商売柄、毎日のように酒を飲み、食事も睡眠も時間はバラバラ。

体力は落ち、目は落ち窪み、髪も抜け落ち、その辺の公園の土に還る未来もそう遠くないかもしれません。

 

そんな、無意識のうちに飼い慣らしていたわがままボディに、ヘルスの鉄槌を下してやらねばなりません。「ヘルスの鉄槌」もなんかエグい下ネタっぽいけど他意はありませんよ?

 

 

近未来の音がするイヤホン

で、ランニングって、基本クソだるいじゃないですか。

自然いっぱいの山や森とか、せせらぎの音が心地良い川沿いなんかを走るなら、そりゃぁ気持ちが良いんでしょうけど。

 

私が走る場所なんて、無機質な車が排気ガスを吐き出しながら行き交うコンクリートジャングルな訳です。

 

小粋な音楽でも聴きながら、じゃないと一瞬で私の精神に支障をきたします。

 

そこで、これです。

 

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HA-ET870BV-H 

 

 

ワイヤレスイヤホン

と、同時に実装されているランニングサポート機能

 

こいつを有志で頂いたことが、私のランニングへの覚悟と繋がりました。

  

 

で、このイヤホンがなかなかスゴい。

以下が、このイヤホンの性能に関する、製造元サイトからの抜粋。

 

 

本機は、ランニングをサポートするフォームコーチング機能を搭載した、新コンセプトのヘッドホンです。

本体内蔵の専用モーションセンサーにより測定した頭部の動作情報から、専用アプリがランナーのランニングフォームを推測し、音声によるリアルタイムのコーチングを提供します。

 

なんかよくわからんけど、文章から滲み出る近未来感だけはひしひしと感じ取れます。

 

要はこんな風に使います。

 

・専用のアプリをiPodに入れて各種設定

 ↓

・iPod / アプリとイヤホンを紐づける

 ↓

・アプリをスタートしてランニング開始

 ↓

近未来の幕開け

 

上記の文章を読んだ瞬間から、私の脳内はこれ ↓ 。

 

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※画像はイメージ(願望)です 

 

 

お耳の恋人

ということで、いそいそとシューズを履き、早速外に出ます。

 

新しいデバイスと、ヘルスな未来への期待感で、すでに気持ちはわっくわくです。

 

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こんな感じで、専用アプリを立ち上げ

 

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胸を躍らせながら開始をプッシュ。

 

 

「ランニング ヲ 開始 シマス」

 

 

おぉ、女性の声でコーチングしてくれると。

機械的な音声ではあるけど、低過ぎることに定評のある私のやる気を上げてくれそうです。

 

 

君がこれから私をコーチしてくれるんだね。
わがままボディを飼い慣らしてたけど、今日からは君に飼い慣らされそうだ。

 

 

「ペース ヲ 維持 シテ 走リ マショウ」

 

OK、カトリーヌ

  

 

人間という存在は、モノに名前をつけることで、その対象を集合的な存在からもっと具体的・個別的なそれへと転換させ、そこに愛の存在を認知できる稀有な生物である。

 

音楽を再生し、希望への轍を走り始めます。

 

 

高性能カトリーヌ(センサ)

 

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 走り始めてすぐ、カトリーヌが語りかけてきます。

 

 

「頭ノ位置ガ テイ スギマス」

 

 

「テイ」…? なんだ「テイ スぎる」って…

 

 

って思いましたが、「低過ぎます」のことだとすぐに気づきます。

 

海外のアプリですからね。翻訳がままならない部分があるだろうし、むしろそんなドジっ子カトリーヌが可愛いとさえ思えます。

この時は、まだ。

 

頭の位置を修正し、しっかり前方を見て走り始めると、すぐ

 

 

「頭 ノ 位置ガ 正常 ニ  ナリマシタ」

 

「ソノ位置 ヲ 維持  シテクダサイ」

 

 

と、すぐさま褒めて(ガイド)くれます。このセンサーなかなか敏感ですね。

スゴいよ、僕のカトリーヌ。その美声で、引き続き僕の耳をくすぐっておくれ。

 

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家の近くの川沿いを、ひたすら走り続けます。

 

気持ちの良い風、木々のざわめき

 

下を流れる川、時折姿を見せる鯉や亀

 

耳にはお気に入りのミュージック、そしてカトリーヌの美声。

 

 

「良イ ペース デス。フォーム ヲ 維持シマショウ」

 

 

無意識のうちに、私は少しづつ、徐々に、カトリーヌの声だけを頼りに走ることになります。

 

 

神経質な恋人(空想の)

しかしながらですね、このカトリーヌという名の(っていうか勝手に名付けた)センサ、ちょっと敏感すぎるんです。

 

例えば、ランニング中ちょっとした段差とかあるじゃないですか。窪んだコンクリートとか。

 

 

そいつを “ひょい” っと飛び越える。

 

 

すると、すぐさま

 

 

「衝撃ガ  強  スギマス」

 

 

と、突っ込まれます。

ちょっとドキっとします。恋とかじゃなくて、「ぁ…ゴメン…」って。

 

 

足の衝撃を通常に走り始めると、

 

 

「衝撃ガ  戻リマシタ。ソノ フォーム ヲ 維持シテクダサイ」

 

 

(あ〜よかった。褒めてくれた)

 

 

こんな風に、私の脳は反応し始めます。

 

最初は

 

(やれやれ、心配性な女だな。まぁちょっとくらい神経質な方が可愛げもあるってね)

 

くらいに、軽く思ってました。当初は、まだ

 

 

 たまに、無邪気に走るペース上げてみるじゃないですか。

 

 

「ペース ガ 速 スギマス。ペース ヲ 維持 シテクダサイ」

 

 

(ぁ…ごめん…)

 

 

……

 

これの繰り返し。

 

次第に、私と彼女(ただのアプリ)の関係に変化が現れ始めます

 

 

徐々に壊れていく関係

こんな感じで走ってるとですね

 

段々、注意されることを恐れ始めるんですよ。

 

誰のため、何のために、走っているのか

 

これがわからなくなります。カルト宗教とか変なスピリチュアル系にハマるのってこんな感じなんだと、今ならわかる。

 

カトリーヌ(アプリ)のため、彼女(アプリ)に褒めてもらうために、献身(ランニング)する

 

このように変化します。もう訳わかりませんよね。

 

「自分のために機械を使ってた」はずなのに、「機械のために自分を使ってる」という逆転現象が起こっていました。夏から秋に移りゆく季節のように。グラスの中でグラデーションを形成するカクテルのように、ゆるやかに、でも確実に。

 

 

 

……

 

 

 

少し疲れてきて、走りながら「ふぅ」と大きく息を吐きつつ、頭を下げる。

 

ーーーーーーーー その刹那

 

 

 

 

「頭ノ位置ガ テイ スギマス」

 

 

 

 

「あぁ、綺麗な空だな」と思いながら、走りながら空を見上げる。

 

ーーーーーーーー その刹那

 

 

 

 

「頭ノ 位置 ヲ 維持 シマショウ」

 

 

 

川のそこかしこに点在する飛び石で、甲羅干しをする亀たちが目に入る。「お、干してるねぇ」と見つめながら走る。

 

ーーーーーーーー その刹那

 

 

 

 

「頭ノ位置ガ テイ スギマス」

 

 

 

 

道端にたまに落ちている “犬の落し物” 。「おっと 」ヒョイッ と避ける。

 

ーーーーーーーー その刹那

 

 

 

 

「衝撃 ガ  強  スギmr……」

 

 

お" お" あ" あ" あ" あ" あ" あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ーーーー うるっっせぇぇぇぇえええええ!!!!ブチブチブチブチィィ(イヤホンを耳から引きちぎる音)

  

 

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貴様はあれか!? 俺が走っているのは傾斜もタイルのほころびもない、ガラスのような!真っっっ平らで!真っっっ直ぐな!そんな道を走っているとでも!? なわけあるか!こちとらガッタガタのグッニャグニャなコンクリートジャングルでサヴァイブしてきとんじゃボケ!

首を常に一定にしろだ!? 少しは動かさなきゃ逆に首おかしくなるわ!こちとら腰痛持ちじゃぞ!そのイヤホンにマッサージ機能でも付いとるんか!?おぉん!?

青空くらいを見上げたっていいだろが!! あの子と僕の距離は遠いけど、この空は繋がってるってば!空の青さと木々の色!夕陽の輝き!そんな自然の美しさ!子供達に伝えること!それが!大人の!責務!何の話だボケ!

貴様、亀見たくないんか!?見たいでしょうが!!亀いたら「あ、亀さんだ〜うける〜☆ どんだけ乾かし万年〜☆ キャッ キャッ」ってなるだろが! ヒトは甲羅干し見たい生物なんじゃこの機械仕掛けのオタンコナス!

貴様、道端に犬のアレがあったら避けないんか!? そのまま進んで踏んでいくんか!? いくんか!?おぉん!?  我が道はマイロードっとか言ってガシガシ踏んでその轍をどこまでも伸ばしていくんか!? 軍人でも行軍中に犬のアレがあったら無意識に避けるわ!! 貴様の住む近未来では道端に犬のアレは落ちていないかもしれんがな!この令和ではまだまだそんなソフト地雷が落ちてるんだわ!命を!預かる!飼い主の!責任!馬鹿たれどもが!!!

俺は!俺の!意思で!走るんだーーーーあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ああああああ

 

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はぁ はぁ はぁ

 

 

 

 

……

 

 

 

すみません、少々取り乱しました。

 

 

 

こうやって、男と女の関係って終わっていくんだな

 

こうやって、人類は AI に支配されていくんだな

 

 

そう思わせるに、誠に充分な彼女(ただのアプリ)だったな(遠い目)。

 

 

 

これ以降、アプリを起動することはなく、私とカトリーヌの間には深い溝が横たわったまま、今に至る。

 

冷え切った二人の関係は、今もなお春の訪れを見ないまま、季節は秋を迎えようとしている。

 

 

みなさま、良い残暑をお楽しみください。

 

 

 

ランニング、しばらく休みます。

 

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株式会社シェルドレイク 代表 ムラヤマ

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