ワイン不完全ガイド「シェルブロ」

戦わないワイン商 (株)Sheldlake代表村山による、ワインとかなんかそんな感じのブログ

ワイナリー視察探訪1 〜チェコ自然派ワイナリー編〜

ブログ書くぞ書くぞ書くぞ書くぞ書くぞ書くぞ書くぞ書くぞ書くぞ書くぞ書くぞ書くぞ(血走った目)

 

 

 

こんにちは私です代表です村山です。

 

 

  

ただ今、博多から岡山に向かう新幹線の中、これを書いています。

 

f:id:sheldlake-wine:20181101130529j:plain

 

次々やってくる案件の雨、頭の痛い問題の嵐。そんな、暴風雨のような毎日の中、「ここしかない」と針の穴を通すかのように書く。書いている。私は風。九州から近畿を吹き抜ける一陣の風。このか弱き指は疾風となり、音速を超え、タイピング音は遅れて聞こえる。そして同時にミスタイプの嵐も呼んでいる。

 

「ブログ書き終えざるもの、新幹線降りるべからざる」という狂気で自分を追い込み、キーボードを叩いています。私の並びの座席に座っているこの人は、よもや自分の近くにこんな狂気が座っているなんて思ってもないでしょう。

 

いつか、湖のほとりとかでコーヒー飲みながらゆったり、誰の役にも立たないくだらない記事を量産し続けるスロウライフに転換していきたい。

 

 

さて本日は、8月に新規ワイナリー視察旅、そのごくごく一部に関しまして。

 

↑ 今気づきましたけど最低な記事タイトルですね

 

ってわけで、スロバキア、そしてチェコから帰って来て、ご報告もままならないまま現実にリダイヴしておりましたが、ようやく書いてます。

 

 

今度輸入する新しいワイナリーのご紹介からしていこうかなって。多分、ワイナリーごとに2〜3回に分けて記事投げます。

 

ご興味のある方、お付き合いいただけましたら幸いに存じます。

 

 

まずはいきなり、新天地・チェコのワイナリーから。

 

 

チェコで出会った小さな自然派ワイナリー

みなさん、チェコって言ったらもちろん「ビール」が思い浮かびますよね。私も何度となく口にしたことがありますチェコビール。うんまいですなぁ。

 

しかし、「チェコワイン」ってのは聞かないのではないでしょうか(てかそもそも「スロバキアワイン」も、普通聞かないよなって思い出しました今)。

私、チェコワインは展示会なんかで何度か口にしております。実は隠密にそういうのに顔だして市場調査とか挨拶みたいなことしてるんですね。すごい、かっこいい、仕事してる人みたい。

 

f:id:sheldlake-wine:20180802202536p:plain

 

何回かに渡りチェコワインは口にしていますが、正直言っちゃうと、「感想は特にないでござる」が感想でした。

10くらいの生産者のワインしか飲んでないので、「国の特徴」というにはデータも経験も足りませんし、まぁそんなものでしょう。 

 

そんな中、「こんな出会い、そうそうない」って今も確信してる最高の造り手に出会いました

 

チェコで邂逅した自然派ワイナリー、その名もMARADA(マラダ)。

 

f:id:sheldlake-wine:20181028135340p:plain

 

 

このワイナリーの情報、ネットでも全っっ然出て来ません。

 

◆生産地域と生産者

チェコ共和国、Moravia(モラヴィア)地方

 

スロバキアとの国境にほど近くにMikulčiceって小さな村があります。「ミクルチチェ」っていいます。口気持ちいい村名ですね。

ミクルチチェミクルチチェミクルチチェ。繰り返し口にしたくなる響きチチェネねぇ。

 

f:id:sheldlake-wine:20181028135500p:plain

↑ スロバキアの首都、ブラチスラヴァ周辺から車で1時間くらい

 

f:id:sheldlake-wine:20181028214314j:plain

 

↑ このような、どこかうら寂れた小さな村で、2006年、ワイナリー・MARADAは創設されました。12年目です。

 

ワイナリー名「MARADA」の由来は、例によってお名前から。苗字ですね。

んで、ほぼたった一人でワイン造りをしている生産者がこちら。

 

f:id:sheldlake-wine:20181028145204j:plain

赤ワインの地下熟成セラーにて。

 

Petr Maradaさん

なんとミュージシャン。バイオリニストです。

 

ふんわりとした雰囲気の人間なのですが、バイオリニスト兼、醸造責任者兼、栽培責任者兼、オーナーという軽く変人かなってスーパーマンですよね。

 

ワイナリーのロゴ、今一度見てくだされ。

 

f:id:sheldlake-wine:20181029134753p:plain

 

ね、バイオリンをモチーフにしていることがわかるでしょ。

 

f:id:sheldlake-wine:20181028152242j:plain

ワイナリー入り口。素朴な雰囲気。

 

Petr Maradaさん、チェコのBrno(ブルノ。南東部)にある「メンデル農業大学園芸学部」を卒業してるんですけどね、質問したんですよ。

 

今のブドウ栽培の知識はその大学で学んだの?

 

いや、あんまり

 

新喜劇みたいにズッコケましたけど、この彼の「栽培知識/経験」に関してはまた後で。

 

◆畑について

 

f:id:sheldlake-wine:20181028155855j:plain

醸造所の前には洗浄中のステンレスタンクなどが雑然と。


畑は全8ヘクタール。かなり小さいですね。

 

5年前に完全にビオロジックに転換しています。

「苦労はあったが、何の問題もなく馴染んだ」とのことなんですが、実はこれ結構すごいこと。長ったらしくなるので割愛しますが、バイオに転換後、そんな簡単に馴染むことはそうそうありません。それも含めて、先の栽培技術と知識について聞いたんですけどね。

 

f:id:sheldlake-wine:20181028162047j:plain

  

ちなみに 認証について 

で、認証機関には登録してないんですよ。 認証取得にあんまり積極的じゃないってのもあるようなんですが、スロバキアと同様、やはり複雑な歴史が少し関係してます。

 

※スロバキア(チェコも同様)の複雑な歴史に関してはこちらをご参考に。

 ↓

 

簡単に言うと


「チェコスロバキア社会主義共和国」の時代、私有地のほとんどは国に奪われます。その後、民主化したはいいものの、今も土地の再区分がまだまだ進んでいない / 不明瞭な場所が多い。MARADAの畑も同じく、“ここからここが○○さんの土地だよ”という明確な区分が役所で成されていない。

そのため、認証を取るにも、機関に対して「この場所にある畑だよ」と示すことが(お役所的に)できない。


ってことです。

 

私個人的には、オーガニック認証とかバイオ認証とかの有無、全く興味がないので、「別にいいんじゃない、無理して取らなくても」ってPetr Maradaさんには伝えてます。

 

f:id:sheldlake-wine:20181029144002j:plain

お話ししながら泡の抜栓。この左手の状態、どういうことか わかる人にはわかりますね?

 

 ◆主要栽培品種と味わい

MARADAの栽培品種は、主なところだと以下。

Ryzlink rýnský(リースリング)

Ryzlink vlašský(ヴェルシュリースリング)

Chardonnay(シャルドネ)

Tramín červený(ゲヴュルツトラミネール)

Rulandské modré(ピノ・ノワール)

Modrý Portugal(ポルトギーザー)

※上記品種表記は、スロバキア・チェコでの一般的な表記です

 

で、試飲の一発目。ワイナリー『MARADA』とのファーストコンタクト。

 

リースリングが出て来ました。

 

……

 

琴線に触れる」ってやつです。まさに、綺麗なバイオリンの音のように。

 

もう香りだけの時点で確信しましたよ。「私、あなたに会いにチェコに来たわ」って。

 

そのあと、次々と出てくるワイン、そのどれもが素晴らしい。

決して “洗練された” ワインではく、なんと言うか、どこか「牧歌的」な味わい。

素朴なのに、深くまで入り込んでいくような。

 

※ワイン個別のテイスティングに関しては、輸入が完了した来月中旬以降に記事に書きます

 

f:id:sheldlake-wine:20181028160017j:plain

重力を利用したワインの移動システム(写真上部、結構アナログな方法)とか澱引きについて説明を受ける酔っ払い

  

◆ 栽培知識・経験 / 醸造哲学について

先ほど軽く書いた「栽培の経験値」について。

 

素晴らしいワインを飲んで悶絶しながらも、あれこれと質問するわけですが、その中で

 

そういう栽培知識とか経験はどこで学んだの? どっかで修行した?

 

彼の答えはこうです。

 

いや、全然。
幼い頃から、ずっと農業を営んでいた おじいちゃん(現88歳)と馬に乗って畑に出て、耕作を手伝っていた。
小さな頃から畑にいる。感覚でわかるんだ。ただの経験だよ。

 

ここ、ミクルチチェは、古くは農業が盛んな村でした。

小さな頃から畑で育ち、土の声に耳を傾けてると、こんな才能が羽化するんでしょうか。こんなに小さな無名の村で、こんな素晴らしいワインを生み出せるんでしょうか。

 

私もいつか言ってみたい。「なんでそんなくだらない文章書けるんですか?」「小さな頃からくだらないことを考えている。感覚でわかるんだ、くそみたいな文章だって。ただの経験だよ。」

 

f:id:sheldlake-wine:20181028162442j:plain

 

◆地下の熟成セラー

醸造所からすぐ近く、主に赤ワインを熟成するための地下セラーに向かいます。

 

f:id:sheldlake-wine:20181030194130j:plain

地下セラー入り口。壁の絵柄が可愛い。伝統的な装飾。

 

一族代々の地下セラー。なんと150年前に作られたそうです。私がまだ学生の時でしょうか。

 

古い古い石の階段を下りて行きます。気温がグッと下がります。

 

f:id:sheldlake-wine:20181030194609j:plain

 

なんとまぁ。

 

「なんとまぁ」しか口から出ない自分のIQの低さが疎ましいところですが、セラー内部はワインを中心に有機的な香りに満ちたワンダーランド。

 

f:id:sheldlake-wine:20181101155348p:plain

通路の壁はこんな風にカビが / 発酵でワインが吹いてます

 

この地下セラーにて、「樽に移したばかり」 「ただ今熟成中」 「瓶詰め待ち」 「過去のキュベで(実験的に)熟成を続けているもの」など、様々な赤ワインを飲みます。

すごく飲みます。これも仕事。権利にして義務。退廃にして正義。禁忌にして祝福。 

 

f:id:sheldlake-wine:20181031143051j:plain

  

ちょっとした面白エピソード。

 

地下セラー内部には、レンガを継ぎ足したような「変な空間」があります。そこにはワイン樽がありますが、壁に囲まれ、通り抜けすることも樽に触れることもできない。

 

「ここなに?」と聞いたところ、面白い回答でした。

 

この “ちょっとした増築” は、おじいちゃんの仕業。
第二次世界大戦の最中、自力でレンガを積み、戦火からワインを守ろうとした跡だ。
ワインは守れたけど、壁を崩さないとワイン樽を取り出せもしない。結局そのままにしているんだ。

 

逃げて。壁作ってないで逃げて。ワイン樽じゃなくて自分を守って。

 

まったく、なんというワインへの愛。その血を引いたPetrさんのワイン。めちゃくちゃ美味しいのも道理ですよね。

 

f:id:sheldlake-wine:20181101155002j:plain

 

150年もの昔から、様々なワインが息をし、静かに眠りについていた。ワインと共に、いろんな思いや歴史も染み込んだ洞窟のような地下セラー。

そんな空間で、話は尽きません。

 

と、こんな感じで、実に4時間以上の試飲。

お忙しいところ、日本から来た弱小インポーター のために時間を割いてくれました。心から感謝。

 

そんなチェコの自然派ワイナリー・MARADAのワインは、来月、日本上陸です。

刮目せよ。チェコの力。

 

お楽しみに。

 

f:id:sheldlake-wine:20181101154803j:plain

=・=・=・=・=・=・=・=・=・=
株式会社シェルドレイク 代表 ムラヤマ

ワインのご購入はコチラへ⇒すべて日本初上陸のワインです

Instagram⇒超カッコいいイメージフォト群
Facebook(企業ページ)⇒商品情報などを更新
Facebook(個人)⇒私と、友達に、なってください!
=・=・=・=・=・=・=・=・=・=