2017夏 新ワイン紹介2 〜オレンジワイン〜
新入荷ワインのご紹介、続きです。
※前回
仕事の合間合間に、もう楽しくて楽しくて仕方のないとてもとても神経を使う極めてセンシティブな試飲を続けております。
前回の2種の赤ワインに引き続き、こちらのワイナリー・MAGULAから最後の1品。
※本日ご紹介するワインは、極めて少量数の取扱のため、販売期間が短い可能性がございます。
Orange Wolf 2015
オレンジワインですよ、旦那様。
もう楽しみすぎて、毎晩抱き枕を『Orange Wolf 2015』に見立てて眠りに落ちていました嘘なんですけど。でも、非常に楽しみでワクワクしていたのは本当です。
ワイナリー・MAGULAが初めて造ったオレンジワインです。だから余計に楽しみだったんですよね。
この『Orange Wolf 2015』、『Carbonique 2016』と同じくノンフィルターで、かつ全くの亜硫酸塩無添加でございます。
「オレンジワイン」って、ワイン飲まない方からすれば聞き馴染みないですよね。
最近では日本の市場でもちらほら見かけるようになった、オレンジワインなる代物についてはGo to 文末。
『Oranžový vlk』って書いてあるでしょ?これスロバキア語。英語表記では、『Orange Wolf オレンジのオオカミさん』ってわけです。
この可愛いウルフさんのラベル、最高ですよね。
※販売する時の表記も本当はスロバキア語にしたいんですけど、ここは断腸の思いで『Orange Wolf』にします。分かりづらいよねって思って。
『Orange Wolf 2015』テイスティング
一言で済ますと、ミネラル感ぎゅ〜〜んです。
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ワインの【外観】 はこんな感じ。
やはり、通常の白ワインとは違い、果皮由来の濃い目の色ですね。淡い琥珀のような。
で、ノンフィルターらしい濁りが見受けられます。
もうこの時点で既に、ふんわりと鼻孔を刺激する香りが。
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たまらず、盛りのついた犬もといウルフのように【香り】をクンカクンカします。
矛盾した言い方ですが、“コク”が香るんです。もう、すぐに飲みたい。メモとか試飲どうでも良いから早く口に運びたい。
グレープフルーツの皮、ネーブル、あんず、そんなところでしょうか。少し置いとくと、仄かにナッツのような香りも立ち上がります。
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【味わい】ですが、溢れるようなミネラル感が最初の印象。「… う ん ま」としか口から出ません。『Orange Wolf』選手、一口目で、見事私の頭の中から“仕事”の文字を消すことに成功です。
そして、生き生きとした酸味に阿波踊りしそう。阿波踊り出来ないけど。
口に含んだ瞬間のアタックは割としっかり目なんですけど、他のオレンジワインでたまに出会う“粗さ”も全くなく、すさ〜〜んって喉を通っていき、じわ〜〜んって身体に染み込んで、はふぅ〜んって溜め息が出て、ぁはぁ〜〜って現実逃避しそうです。わかります?
特筆すべきは、やはりこの特徴的な苦味。これまた果皮由来ですね。この苦味が、旨味と“コク”の手を引いて一緒に連れて行ってるかのよう。後を引く美味しさの主要因はこれかと。
飲み込んだ後のアフターの風味、そして舌に残る仄かな苦味に、ついついすぐ次の一口に手が伸びてしまうこと請け合いです。
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ちなみに、抜栓後2日目になると、香りに甘やかなニュアンスが乗って、まるであんず酒みたいに。これまた面白い変化。
旨味はそのままに、生き生きとした酸味、苦味ともに素晴らしいバランスを保ったままでしたよ。
「このワインだけでずっと楽しんでいたい」。
個人的には、そう思ったワインでした。
無濾過・亜硫酸塩無添加、そして“醸し”によって、ブドウの全てを詰め込んだようなオレンジワイン『Orange Wolf 2015』。
超少数生産のため、超絶少数本しかありません。
そんなちょこっとしか造れないワインを、こんな吹けば細胞レベルに吹き飛ぶちっぽけな弊社に
「どう?生産本数◯◯◯本で、各取引先これくらいしか割振れないんだけど」
っていってくれたんです。
全部買うに決まってるじゃないですか。
でも、多分速攻で無くなります。売切れたらごめんなさい。
『Orange Wolf 2015』使用品種
中央ヨーロッパ(主にオーストリア)では主要な品種に、スロバキア独自の交配品種をブレンドしてます。
・Welschriesling ヴェルシュリースリング:70%
・Grüner Veltliner グリューナー・フェルトリーナー:15%
・Devín デヴィン:15%
「ヴェルシュリースリングを主体に、違う切り口の酸味とミネラル感をグリューナー・フェルトリーナーで補い、デヴィンで豊満さと骨格を補っている」
とか勝手に判断してます。でも、多分そんな感じです。
「ヴェルシュリースリング」は、弊社でも取扱がありますぞ。
以下、涙ぐましい宣伝ですから覗いてください。
↓↓↓↓↓↓↓↓
[個性の全く違う2種]
◯オーストリア:ヴェルシュリースリング | オーストリア
◯スロバキア :ヴェルシュリースリング | スロバキア
品種のお勉強したい方はGo to 文末。
『Orange Wolf 2015』醸造
※例により専門用語っぽい何かが散見されますがご了承下さい。ですが難しい話じゃありません。
主体となるヴェルシュリースリング。これを開放槽で発酵し、10日間のスキンコンタクト。
フタを開けたまま、つまり好気環境下での発酵ってことで、前回のマセラシオン・カルボニックの嫌気環境とは真逆の方向性ですよね。意図的な酸化です。
その後、別々に発酵させたグリューナー・フェルトリーナとデヴィンをブレンドし、オークの大樽で12ヶ月熟成。
瓶詰めまではノンフィルター(無濾過)で、亜硫酸塩を始め酸化防止剤は不使用。
果汁だけでなく、果皮も種も、そのブドウの魅力を骨まで味合わせようってことですな。
確かに、確実に、味わえますよ。
『Orange Wolf』というワイン名の由来
この記事で少し触れてるんですけどね。
このMAGULAの畑がある土地に関係します。
『Rose Valley(バラの谷)』、そして『Wolf Valley(狼の谷)』って呼ばれる、2つの谷間が小さな地域に絡み合ってる、そんな場所に畑があるんですよ。
この二つの複雑にうねった地形が、局所的に様々な気候条件を形成します。ミクロクリマ(微気候)とか呼ばれます。
難しい話はさておき、つまり
『Wolf Valley』側の畑で育ったブドウによるオレンジワイン
=『Orange Wolf』
ってわけです。
可愛くも洒落たワイン名を付けてくれたものです。
それでは、スロバキア共和国の家族経営ワイナリー・MAGULAからの新ワイン、以上の3種でございました。やっぱ美味しいわぁ、この人のワイン。
お次ぎもまた、スロバキア共和国から。
スロバキアでは初の有機栽培認証を取得し、代々家族でワインを造り続けるワイナリー・Domin & Kušickýから2種。
“職人”技が光ります。
〜続く〜
さぁみんな、醸造のお勉強はっじまーるよー。
オレンジワインにもう一歩踏み込む
最近、にわかにこの言葉広がり始めてますね。いかにも流行りやすそうな名称と立ち位置ですよね。
一種の醸造方法ともいえるワインのことです。
マセラシオン・カルボニック法と同じく、自然派系の生産者に多く見られる白ワインの一種です。
「果物のオレンジで造ったワイン」じゃないですよ?「オレンジ色のワイン」っていう、極めて単純な意味です。がっかりですね。
白ワインの延長線上とお考え下さい。白ブドウから造られるものです。
通常の【白ワイン】の場合、プレスして[果汁]と[果皮・種]を別にし、[果汁]のみを発酵させます。
品種や生産地により濃淡は変わりますが、だからこそ“白い”わけです。
対して、【赤ワイン】の場合。[果汁]と[果皮・種]を一緒にして(漬け込んで)発酵させます。果皮の色が、果汁に移行する。だからこそ“赤い”わけです。
(「醸し」「浸漬」、英語で「マセレーション」、仏語で「マセラシオン」っていいます)
で、【オレンジワイン】。白ワインを、赤ワイン的に発酵させたものとお考え下さい。
4・5日〜長い人で半年以上も[果汁]に[果皮・種]を醸しておきます。これが上記に出てきた「スキンコンタクト」ってやつ。
すると、果皮からはその色が果汁に移行します。通常の白ワインよりも濃いものになりますよね。“オレンジ”ワインです。
ここからが重要なんですが
同時に、果皮や種にある苦味成分(タンニン)やフェノール類なんかも果汁に移行していきます。
このような果皮・種からの成分が、酸化防止や抗菌として作用するそうです。
つまり、オレンジワインって、亜硫酸塩を始めとした酸化防止剤をより必要としないんです。
だからです、“自然派の生産者に多い”っての。
↑で、大昔触れてましたね、なんか偉そうに。
EUのオーガニックワイン認証における亜硫酸塩の許容量。こいつを眺めてると見えてきます。
白ワインの方が、亜硫酸塩の添加量がより多く許容されてます。
これ裏を返せば、白ワインの方が菌や酸化に弱いってこと。
赤ワインはその逆。裏を返せば、赤ワインの方が菌や酸化に強いってこと。
その理由の一つが、抗菌・抗酸化作用を及ぼす果皮・種由来のフェノール類やタンニンの
影響ってことですな。
赤ワインは“醸す”行程を経ることで、この作用が白ワインよりも働きますよね。
ってことはです。
通常の白ワインとは違う、“醸す白ワイン”であるオレンジワインも、この作用が働きます。
さぁみんな、品種のお勉強はっじまーるよー。
Devín
スロバキアでは結構使われることの多い白品種です。
この品種のワイン、私、めっちゃ好き。
でもね、後述する品種特性を生かした“美味しいデヴィン”にいつも出会うのかというと、そうでもないんですよね。やはり大切なのは生産者の腕です、栽培も醸造も含めた。
「交配品種」と申し上げましたが、何を交配しているかというと、こちら。
Gewurztraminer × Malvasia
2つとも、国際的に有名な品種です。デヴィンを飲んでみると「あー、この2つの交配なんだなぁ」って、非常に分かりやすい味わい。
恐らく日本では好きな方多いでしょう。
甘やか〜〜なマスカットや青リンゴ、華やかな白い花の香り。
最たる特徴は、その甘味。単純な糖度の高さもあるんですが、なんて言うか、果実の風味に甘味があるんですよね。
その甘味も手伝い、酸は控えめな感じ。そして仄かにスパイシーな風味。
で、品種名の「Devín」の由来なんですが、これ結構調べたんですけど、イマイチ分からないんですよね。
でも、「この辺は関係するのかな」ってのが以下。
スロバキアの首都・ブラチスラヴァの中心部から、路面電車で20分くらいでしょうか。『デヴィン城』っていう古城があるんですよ。
前にオーストリアに数ヶ月一人暮らししてたとき、一人でトコトコ見に行きました。
※デヴィン城内から見下ろすドナウ河
スロバキアって、古城がいっぱいあるんですよ?
“悠久の時”感満載で、とっても素敵なんですよ?
「Devín」って、語源はスラブ語の「Deva(=Girl)」だそうです。真偽はわかりません。
『デヴィン城=女の子城』っていう、日本語にすると途端に邪な城になりますね。
でも、ブドウ品種名が「Devín = Girl」って考えると、素敵ですよね。
上述の品種との特徴にぴったりです。
フルーティで、フローラルな華やかさ、甘やかな風味。
可憐な女の子のような、そんなワインですもん。
いつか「Devín」100%のワイン、日本に持ってきますね。
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株式会社シェルドレイク 代表 ムラヤマ
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