ワイン不完全ガイド「シェルブロ」

戦わないワイン商 (株)Sheldlake代表村山による、ワインとかなんかそんな感じのブログ

2017夏 新ワイン紹介3 〜「白のピノ・ノワール」と「王道を行くシャルドネ」〜

どんどん行きましょう。続きです。

 

※前回

 

そろそろ私も酔っぱらってきました。赤い顔して「うへへへ…へへ…へへへぇ」とか呟きながらこれ書いてます。変態です。

 

 

新入荷ワイン、4本目・5本目のご紹介。

本日は、弊社シェルドレイクではすっかりお馴染み、こちらの「THE 職人」なワイナリーから。

 

 

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Domin & Kušický  ドミン & クシツキー

スロバキア共和国・中部南スロバキア地方に居を構え、スロバキアで最初のビオロジック認証を取得。地球環境に対しサステイナブルな視点での畑作業とワイン造りに取り組み続ける、家族経営の自然派ワイナリー。

 

 

思えば、Domin & Kušickýのワインを最初に飲んだ時、初めてワインを「美味しい」と感じたものです。そういう意味では、今私がこんな商売やってるきっかけ(元凶)ともいえるワイナリーかもしれません。

 

 

前回までご紹介した【MAGULA】。

そしてこれからご紹介する【Domin & Kušický】。

 

同じスロバキアの自然派生産者ですが、この二つのワイナリー、実に対照的で面白いんですよ。簡単に言うと

 

【 MAGULA 】=ニュースタイル

自然派系のワインに最近多いタイプ。全体的にアルコール度数は低め。果実味がフレッシュ寄りで、口当たりも実に軽やか。

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【 Domin & Kušický 】=オールドスタイル

いわば「王道タイプ」。しっかり目の味わいで、“骨格が強い”ワインが基本的なスタイル。しかし、口当たりはどれも優しく、まろやか。

ブルゴーニュのワインを彷彿とさせる味わいが散見される。

 

こんな感じ。あくまで “私の感覚” です。

 

そう言えば、Domin & Kušickýの現オーナー、ワイン造りの修行でブルゴーニュも回ってるんですよね。元々の好みもあるでしょうが、その影響も強く出ているのでしょうか。

 

 

さて、そんなところで

ドミン & クシツキーの新ワインは2種。まずはコチラから。

 

 

RULANDSKÉ MODRÉ – BIELE BIO 2013

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ピノ・ノワール の 白 ですぞ。

 

※「RULANDSKÉ MODRÉ」=『Pinot Noir』 / Biele」=『Blanc (白)』

 それぞれスロバキア語表記です。

 

黒ブドウのピノ・ノワールから造った白ワイン

「黒から造った白」ってわけですが、“言ってる意味分からん” という方もいらっしゃるかと存じます。それについては後ほど。

 

 

この「ピノ・ノワールの白」、たま〜に見かけます。

いくつか飲んだことはあったんですが、Domin & Kušickýがこのタイプを造るのはこの2013ヴィンテージが初

どんな味わいなのか非常に楽しみであり、同時に不安もありましたが

 

“さすが” の一言でした。

 

 

『RULANDSKÉ MODRÉ – BIELE BIO 2013』テイスティング

可愛い色合いに騙されちゃいけませんぞ。この子、見た目に反しぶっといやつです。

 

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【外観】はこのような。可愛い色合いですね。

優しくプレスする際に、多少の色が果皮から出ていることが伺えますな。“ピンク” というより “淡いアイボリー” に近いかと。

粘性(グラスの縁に“とろ〜〜”とか垂れるあれ)の具合も、アルコール度数高そう感が。

 

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【香り】がこれまた良いんですわぁ。香りから既に、ふくよかな味わいを予感します。花梨、アプリコットのような果実香。仄かながらキンモクセイのようなフローラル感。白目を剥いてトリップしそう。

後の方、僅かにスモーキーなニュアンスも気持ち良いですな。

あと、なんかね、思い出せないんですけど、インドの線香でこんな香りあったなぁって。カルダモンとか、白檀とか、なんかそんなの。言葉が出てきません。自分の語彙力のなさに絶望します。でも気持ち良い香りだからいいや。

 

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【味わい】なんですが、「黒ブドウなんですなぁ」って、びしばし納得できる厚み、そして旨味が、どっと溢れます。

甘味さえ感じるふくよかな果実味。お願い抱いて。

独特の質感を持った酸味。やっぱり普通の白ワインとは少し違ったニュアンス。あなたじゃなきゃダメなの。

そんでコクを生む苦味がこれまた。天に召されそう。召して。

 

アルコール度数13%ということで、白ワインでは結構高い方ですよね。そのため、なかなか“骨格”のあるワイン。

とはいえ、この優しい口当たり。調子こいてスイスイ飲んでると、結構酔っぱらいます。

 

  

『Pinot Noir』が “白い” 理由

赤ワインができる黒ブドウ・Pinot Noirから、なんで白いワインなんかができるのか。

それは、醸してないからです。

 

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※通常の、赤ワインのピノ・ノワール(ピノ・ノワール | スロバキア

 

通常は、ピノ・ノワール(黒ブドウ)を破砕して、出た果汁と果皮・種を一緒に漬け込み(醸し)ますね。果皮の色が果汁に移行するから、あんなに赤黒いというわけです。※前回記事参照

 

 

この『Pinot Noir - Blanc 2013』は、優〜〜しく、柔らか〜〜く、慈しみ〜〜を以て潰して、果皮・種を別にして果汁のみを発酵させます。そう、黒ブドウのピノ・ノワールを“白ワイン的に”造ったものってわけです。

 

前回の「オレンジワイン」は、“赤ワイン的に”造った白ワインでしたね。そろそろ「わけわからんでござる」って方が出てきそうです。

 

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“白い” とはいえ、アイボリーのような色合いなのは、上述の優〜〜しく潰す際に、果皮からの色が、こう、“ジュっ” って、“じわっ” って、果汁に出ている影響ですな。

しかし、ワイン生産者も色々と面白いことを考えるものですね。

 

 

『Pinot Noir – BLANC BIO 2013』(RULANDSKÉ MODRÉ – BIELE』)

 

“少し変わったワイン” だけでは決してございません。

骨太ながらどこか優しい、哲学と技術に裏打ちされた白ワインです。

 

 

んで次。

 

 

CHARDONNAY BIO 2012

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同スロバキアの家族経営ワイナリーから、王道品種・シャルドネの新ヴィンテージですぞ。わーいわーい。すっごーい。

 

現在、弊社で取扱ってる『CHARDONNAY BIO』は2011。その次のヴィンテージを入荷しました。

※ちなみに、ここだけのお話、前ヴィンテージ『CHARDONNAY BIO 2011』はあと10本くらいだけお売りできます。

 

 

『2011』も、“王道品種の王道を行く” 絶品のシャルドネでしたが、今回の『2012』は果たしてどうなるか。

 

 

最 っ 高 でした。

 

 

『CHARDONNAY BIO 2012』テイスティング

ラベルに大きな変化はありません。でも、全体的な色合いに変更がありますな。

 

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【外観】はこんな感じ。写真へたくそボーイですみません。

「淡いゴールド」って感じでしょうか。『2011』より少し淡い印象。

 

そして、酒石が見られます。期待値上がりますね。

 

 → ※酒石について

 

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【香り】をとった途端、「ぁっっはぁぁ〜〜〜」って声にならない声が出ます。キモいです。

アプリコット、マンゴー、桃。まさに “シャルドネだなぁ” といった、甘やかで豊満な果実香。遅れてフラワリーな香り。仄かにスパイス。そんで木樽のニュアンスがほんのりと。

 

心地良い香り過ぎて、スーハースーハークンカクンカし続けます。外から見たら完全に変態です。

大体の場合、香りでここまで最高だと、味わいも期待通り最高なんですよね。

 

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【味わい】の第一印象、それは「柔らかく まろやか〜〜〜な “舌触り”」。飲んだ瞬間は「…うっっま」としか出ませんでしたけど。

口ん中いっぱいに広がる、よく熟した果実の味と旨味。君の胸に埋もれたい。

円みのある柔らかな酸味とコクの苦味、そのバランス。もう抱いてください。

中程度にさりげなく、しかし確実に、その風味の残響を置いていくアフター。前前前世から愛してる。

 

口に含んでから、喉を通り、胃に落ちていく。この間、一貫して滑らかに “滑り落ちていく” ような印象。

まったく飲み疲れなく、ずっと飲んでられそうですよ。

 

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『CHARDONNAY 2011』との大まかな違い

まず【外観】から少し違います。 『2011』の方が、少し色が濃いんですよね。

 

2011 = ちょい濃い目のゴールド

2012 = 淡いゴールド

 

みたいな感じ。原因として考えられるのは2点。

 

・2011年の方が天候が良かった(ブドウの糖度が高かった)のでは

・樽熟成の期間が2011ヴィンテージの方が少し長かったのでは

 

私の記憶が確かならば、2011年って、確かに中央ヨーロッパの天候めっちゃよかった気がします。

 

 

そんで【香り】【味わい】の違い。

『2011』は、もっと “まったり” 感がありましたね。「ミルキー」な感じ。

上述のような果実香の特徴は、今回の『2012』と同じ方向ですが、さらに、仄かに香るバターのようなイースト香が印象的でした。

 

『2012』の方が、なんて言うか、もう少しスマートさがある。

そして、口の中の滑らかさ・まろやかさは『2012』に軍配が上がる気がします。

うーん、でも。選べませんね、どっちが好きかなんて。

 

 

何にせよ、ヴィンテージごとの違いをちゃんとワインに反映しているってことですね。

この違いは、飲み比べると本当に面白いですよ。

 

 

 

さて、『CHARDONNAY BIO 2012』と、『Pinot Noir – BLANC BIO 2013』でした。

 

ブドウの魅力、そして生産者の哲学が存分に詰まったDomin & Kušickýの新ワイン。

ぜひお試しあれ。

 

 

 

次回で「新ワイン紹介」は一通り終わり。

 

最後は、スロバキア共和国・マロカルパツカ地方で、多くの優良な農作物を栽培し、地域住民に提供する農業会社が立ち上げ、そして近年、「スロバキアワイン界の “ライジングスター” 」と呼ばれているワインブランドから。

 

キーワードは「Happy」です。

 

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 〜続く〜 

 

 

 

 

  ※酒石について

 

「ワインの宝石」とまで呼ばれちゃう酒石とは

まずはコチラをご覧くだされ。

 

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これ、上にご紹介した『CHARDONNAY BIO 2012』楽しんでいる試飲しているときのグラス。

 

グラスの底にキラキラと輝く、粉のようなつぶつぶ。

これが酒石です。もちろん、飲んだって人体には全くの無害ですよ。

 

簡単な説明はこんな感じ。

 

ワインの液中にある酒石酸が、カリウムなどと結合し析出した物質

 

 なんか、「めんど…」って思いますよね。

しかしながら、この酒石。そのキラキラ輝く様相、そして“酒石が析出しているワインの意味”から、「ワインの宝石」とか呼ばれちゃってます。なんともご大層なものですね。

 

 

酒石酸」ってのは、ブドウに含まれる成分。「ワインの酸味」部分における超重要な面を担っています。

「カリウム」ってのも、ブドウの実に元々ある成分。ワインを飲んだとき、いわゆる“ミネラル感”と感じるのは、このカリウムによるところが大きいと言います。

 

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ソーヴィニョン・ブラン | スロバキア

 

あまりワイン飲まない方なんかは、こういうの、見覚えないかもしれません。

なぜかって、多くのワインは、徹底的に濾過、もしくは除去しちゃうからです。

 

別にその行為自体は、特に問題ないのですが

濾過などの介入を過度に行うと、透き通ったクリアな外観が得られる代わりに、ブドウの旨味を始めとした「ブドウ本来の魅力」が失われていきます

 

 

濾過などを最小限にするすることは、逆にリスキーな面もあるのですが、あえて無濾過に挑んだり、人的介入を最小限にすることは、それだけ

 

ブドウの、そして土地の味をワインに反映させたい

 

という心意気の現れ、とも言えるわけです。

 酒石はその証なんですな。

 

 

講釈はこの辺にして。

「酒石」を見かけたら、「お、酒石じゃん。すっごーい、おっもしろーい」くらいにして、特に気にせずワインを楽しんでください。

 

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株式会社シェルドレイク 代表 ムラヤマ

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