冷蔵庫に長期保存したワインのお話
みなさん
ワイン、飲んでますか。
私は飲んでます、今。
これを。
こんにちは私です代表です村山です。
貰い物したので、少々頂きながら失礼します。
あの、その、ちゃんとワインも飲んでますよ、普段は。
さて本日は、前々からちょっと気になってたことを一つ。
ワインの保管、その中でも個人的に最もよく出会う質問に関して、ピンポイントです。
こういう書き方すると、“めっちゃタメになる小技”的なこと書き出しそうですが
そんな内容、塵の一つも出てきません。先に釘を打っておきます怒られたくないから。
後述する内容は、ワインを日常的に飲む方々からすると「え、普通でしょ」みたいなことかもしれません。
しかしその“普通”、ただワインに特化しただけのもの だったりします(他のお酒にも、多少そういった面はありますよね)。
イケませんよ、選民的な姿勢は。“普通”ではない人にとって、その世界に踏み込む足が遠のく原因になり得ます。
何度かこのブログでも書いておりますが、この商売やってる中で私の考えてることの一つ。それは「ワインという選択肢のない人に、ワインという選択肢もある、と思ってもらう」ってこと。
この『シェルブロ』の説明にも明記してますが、基本的に“ワインを普段飲まない方に向けて書いている面が多分にあります。
そのことを念頭に、ワインラバーの皆様も、ワインヘイターの皆様も、ワインのことなんてシランワーの皆様も、出会い頭の事故だと思ってお付き合い頂ければ幸いです。
意外と多い ワインの保管に関する問い合わせ
▲スロバキア・トカイ地方のワイナリー地下深くにある貯蔵庫
結構多いんです。たまに問い合わせでも聞かれますし、知人にもよくよく聞かれます。
確かに、ワインって他のお酒の中でも、より保管状況とか飲む温度を気にしてあげた方が良いお酒なんですよね。その分、開けて美味しかった時の“悦びも一入”ともいえます。
あんまり神経質になり過ぎるのも如何なものか、とも思いますが、でも大逸れたことをしなくても良いんですよ。
その中で、よく聞かれるフレーズ。それは
「このワイン、冷蔵庫に入れとけば良いんでしょ?」
です。
ワインは冷蔵庫に保管して良いのか
結論から言います。
「入れておく時間による」です。
“ふざけんなよ”って声がモニターの向こう側から聞こえてくるようです。すいません。
主に白ワインを例えにします。
※下記は、主に“開栓前”のお話です。
飲む直前に 冷蔵庫で冷やす
オススメします。
白ワインって、基本的には冷やして飲むものですよね。
総じて白ワインの良い所(酸味とかフレッシュな果実味とか)。温度が低い方が、舌はそれを際立って知覚できるということです。
お家に帰ってきて、「さぁ今夜はこの白を飲もう」となる。普段からワイン飲む人なんかはワインクーラー持ってたりしますが、まぁ普通持ってる人少ないですよね。
冷蔵庫に入れますね。
んで、料理したり、本でも読んだり、恋人や奥様/旦那様とおしゃべりしたり、天井のシミが何に見えるかで一人心理分析したり、ビアンカとフローラは結婚相手として結局どちらを選ぶべきなのか考えたりしながら、ワインが冷えるのを待ちます。
冷えたら開栓し、ひゃっほぃって飲みます。
※冷蔵庫で冷やす場合の時間基準
きりっと冷やして飲むタイプの白ワインなんかは、大体2時間程で良い感じに冷えます。
一方、赤ワインって、いわゆる“常温で飲むと良い”とよく言われますが、口当たりの優しい軽やかなタイプの赤なんかは特に、「ちょい冷やし」からスタートさせると良いですよ。飲んでいる内に、段々温度が上がってくる。それに連れて、香りも、味わいも変化し、様々な表情が出てきます。その変化を楽しむというのも一興ですぞ。
そんな赤ワインの「ちょい冷やし」なら、30分〜1時間弱 程度で良いかと。
と、このように
ごく短時間の冷蔵庫保存は何の問題もありませんよね。
そりゃそうです。これでダメになったら、どんだけ箱入り息子なんだよって話ですし、どこの王宮ご出身のご令嬢で遊ばれるんだよってお話であらせられますよね。
赤ワインの場合、室温で慣らしてそのまま飲むか、上述のように「ちょい冷やしから」飲むことをオススメします。
1日前から冷蔵庫で冷やす
「ビアンカとフローラ、どちらかなんて決められない」というような、飲む直前の待ち時間が鬱陶しい、待ってられない、我慢できない、早く抱いて、と鼻息を荒くするような方の場合。
前日から冷やして 、翌日飲む。これはどうか。
基本的には問題ありません。
帰ってすぐ、鼻息を荒くして開栓し、ひゃっほぃしましょう。しかし、もう少しその鼻息を落ち着かせ、ビアンカかフローラどちらにするかをゆったりと考えるスローライフの術も身につけましょう。
※ “基本的には”と、都合良く付けましたが
後述するように、ワインには無尽蔵に様々なタイプ があります。「赤ワインは◯◯時間、白ワインは◯◯時間冷やす or 冷やしたらダメになる」というように、[赤 / 白]で対処を明確に分けられるものではございません。
あくまで、拙い私の知識と経験則中心による進言となります。ご了承下さい(でも結構自信あります)。
2〜3日間 ないし数日間 冷蔵庫で保管する
私は あまりオススメは しません。ただ、ワインの品質的には問題ありません。
どういうことじゃいって話が以下。
これは赤 / 白に限らずですが、ワインって冷え過ぎると、いわゆる“閉じた”味わいになります。
特に赤ワインは、それが顕著に表れます。
「ちょっとあたし鼻風邪気味かも〜」みたいなもんです。香りが本来よりあまりせず、固〜い味わいになるんですな。風味が消えたように感じられることがあります。
2〜3日冷蔵庫に入れたワイン。白ワインだとしても、開けてすぐは↑↑↑の状態になってることがたまにあります。
しかし多くの場合、この程度であれば治ってはくれます。
冷やし過ぎた場合は、開栓してしばらく室温に慣らしていきつつ空気に触れさせておくことで、段々と本来の香りが戻ってきます。看病してあげるようなもんです。
数日間冷蔵庫に入れっぱなしにしてしまい、「あれ、この白ワインあんまり香りしないな。味わいも固いな」なんて思ったら、試してみてください。
それでも美味しくないなら、“そういうワインだった”ということです。
※開栓後、余ったワインの行方 特に赤
「今日はもうベロベロンでござるよ」という場合、コルクを再びキュッと締め、再び冷蔵庫にでも入れといてください。そして、次の日にまた続きをひゃっほぃしてください。
弊社のワインの話ですが、基本的には開栓から3日間は美味しく飲めます。エキスの強い“重い赤ワイン”に至っては5日経ってもまだ美味しく飲めました(弊社のワイン全て、最低でも3〜4日にかけて試飲してます)。
でも赤ワイン、特に重めの赤ワインって、そんなに冷して飲まないわけです。なのに冷蔵庫に入れたら、次の日飲む時は冷えっ冷えじゃないですか。この場合、いきなり飲んでも、上述のように“閉じた”味わいのままで、ちょいとイタダケナイ味わいであることが多い。
余った赤ワインを冷蔵庫に入れた場合、室温になれさせ温度が上がるまでじっと待ってください。その間、ビアンカとフローラどちらかを決めていてください。
ちなみに私の場合、余った赤ワインは、夏場以外は冷蔵庫に入れません。コルクして、気温の低い廊下とかに放置です。次の日、そのまま飲むか、「ちょい冷やし」するかしてひゃっほぃします。問題ありません。
ただし、繰り返しますがオススメはしません、というかできません立場上も。
1〜3ヶ月 長期に渡り冷蔵庫に入れとく
全っっっ然 オススメしません。
圧倒的に ダントツに 超絶に 抜群に ブッチギリに ピカイチに 抱腹絶倒に 青天井に あと何だろ、とにかくオススメしません。
ビアンカかフローラで迷うならまだしも、デボラを結婚相手に選ぶようなものです。ヤメた方が、その身のためです。 現実にデボラのような女性を目の前にしたら、多分私は鼻フックして一本背負いするでしょう。
だって、そんなジャムとかマーガリンとかシャウエッセンとか“ごはんですよ”じゃあるまいし。そんな長く冷蔵庫に放置しちゃワインも浮かばれません。
モノによっては、それでも閉じた香りと風味が戻ってくるワインだってあるでしょう。そのようなご報告や事例もありましょう。
しかし、立場上からも、「それでもワインは戻るから大丈夫だお☆ つおいお☆」なんて無責任なことは言えません。
「全てのワインがそれに当てはまる」なんて言える程、画一的な飲み物でもありません。
そして、上記に関して。つまり「冷蔵庫で長期保存したワインはどうなるか」。
身を以て実証しました。
8ヶ月くらい冷蔵庫に入れといた白ワイン
▲WHITE HEAVEN 『Sauvignon Blanc 2013』
ニュージーランド産の、「ソーヴィニョン・ブラン」という品種の白ワイン。これね、好きなんですよ私。
そんなに安いわけではないんですが、今まで多分5本は飲んでます。
こいつを、8ヶ月以上も前に冷蔵庫に入れて、その存在を頭から消してました。というか、完全に忘れてました。
痴呆の波に飲まれ始めているんでしょう。そのうち、デボラを結婚相手に選ぶ日が私にも来るんでしょうか。
で、この前見つけて「あ〜、入れといたなぁこれ」と思い出し、開栓してみました。
このワインの 本来の力
このワイン、本来華やかな香りが信条。グレープフルーツやレモン、ハーブの香りが顕著。
味わいもミネラル感のある僅かな苦味と、バランス抜群の酸味。料理にも良く合うので、重宝します。
これが、8ヶ月を遥かに超える長期冷蔵庫保存でどうなったのか。
長期冷蔵庫保存後:香り
開けてまず、香りがほとんどしてきません。
ソーヴィニョン・ブランらしい香りはしています。このワインを私が知らなかったら、「あぁこういうワインなのかな」と思うかもしれません。
しかし、本来の華やかな香り、特にフレッシュな果実系の香りが消え去ってました。
ハーブ系の香りは結構残って、そちらがよく感じられますが、それでもこのワインの本来の香りの1/3以下という感じでしょうか。
長期冷蔵庫保存後:味わい
香りからお察しですが、やはりフレッシュな果実味がほとんど来ません。 苦味部分だけがフィーチャーされてしまってる印象。
そして、酸味に“尖り”が出ています。ソーヴィニョン・ブラン、特にニュージーランドのものは、キリッとした果実味に絡む酸味も魅力なんですが、その酸味が「ウマい」と思わせるものではなくなってるということですな。
その後の変化
それでも、空気に触れさせ、時間が経つにつれ、香りは少しずつ果実香を取り戻し始めます。
しかし、ついぞ本来の香りからはほど遠いままでした。
味わいも、上に同じくです。
総評として
誤解があるかもしれませんが、「飲めたもんじゃない」という程ダメージを受けているわけでは決してありませんでした。
もし、私がこのワインを飲んだことがなかったとしたら、「美味しい」とまでいかずとも、「こういうワインなんだなぁふむふむ」くらいに思っているでしょう。全然悪くありません。
ただ、知ってるからこそ「本来のこのワインの魅力からはほど遠い」と感じました。
そして、忘れてはならないのが
「こ の ワ イ ン に 関 し て は この程度の変化だった」です。
他のワインならどうなるか。もっと壊滅的ダメージである可能性が大いにあります。
赤ワインでも試したことがあります。3ヶ月間冷蔵庫に入れた赤ワインです。
完全にダメになってました。いくら時間を置いても、味わいが戻ってくることはありませんでした。
様々な化合物の集合であるワイン
さて、以上「ワインを数週間・数ヶ月の長期に渡って冷蔵庫に放置しちゃダメよ」でした。
不思議ですよね。“高温に晒すと悪くなる”というのは、なんとなく誰もがイメージできることですが、“長期に渡る低温も悪くなる”というのは。
ワインって、発酵過程で様々な化合物が生成されます。そもそも、ブドウ自体にだって、様々な成分が備わっていますしね。
その一つ一つの成分が、タンクで、樽で、そして瓶内で、どのように反応し合い、変化するのかなんて、専門家でも未だすべてを捉えることは叶ってません。
繰り返し申し上げた「画一的なものではない」というのは、そんな意味合いもございます。
まぁ色々書き殴りましたが、あんまり考え過ぎないでも良いですからね。
神経質になることはありません。あくまで「お酒」です。
それでは皆様、良い酒と共に良い時間をお過ごし下さい。
私は
ビアンカを選んでしまう男です。
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株式会社シェルドレイク 代表 ムラヤマ
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