ワインを輸入するために必要なこと
再掲しますが、これね。
前回まで、あれやこれやと書き殴った「亜硫酸塩」。
これ、表示義務があるって言いましたよね。すごいサラっと。
今回はこれについて。
海外からお酒を輸入するのってね、ものっすごい面倒なんです。 あれ? これ 私が言っちゃいけないやつかもしれない って思ったけどもういいやどうもありがとうございました。
ここに、とあるワインがあります。
このワインは、日本の地に、一度も入ったことがありません。 さぁどうしましょう。
このご時世、日本に一度も入ってきたことがないワインなんて、なかなかないですよね。「こんな地域にワインあったんだ」って言っても、過去にどこかの会社さんが扱っていたり。 もしくは、すでに輸入している会社さんから買って、販売したり。
我々シェルドレイクって、幸か不幸か日本と取引したことのないワイナリーのワインばかりなんですよ。 だからなんですかね、発足から今もなお吹けばぶっ飛ぶような会社なのって。あれ、泣きたくなってきた。
日本に輸入しようと思ったワインが、そんな初上陸なものである場合 やらなきゃいけないこと、色々あるんですよ。
まず、現地の検査機関にそのワインを提出します(上の写真にあるワインの場合スロバキアですね)。 そんで、そのワインに含まれている残留亜硫酸塩の濃度などなどを検査してもらって 「このワインは法律に違反する様なもの入ってないですよー、亜硫酸塩の濃度も法定値を下回ってますよー」 ってのを証明する書類を発行してもらいます。
この分析証明書ってのを受け取って、日本の厚生労働省に提出します。 彼の国では認可されている物質でも、日本では認可されてないものとか、ありますからね。
これらが受理されて、ようやく日本の通関を通る条件が整うわけです。
もちろん、必要書類ってこんなもんじゃないですよ。 もっともっともっともっともっと何個も何個も何個も何個も何個も提出しなきゃいけないものがありますし。 現地とのメールだって、何通も何通も何通も何通も何通も何通もやり取りしますし。
さて、分析証明書にも記載される「残留亜硫酸塩濃度」なんですけどね この亜硫酸塩が含まれている量って、世界各国で制約を設けているんです。そりゃそうですよね。 もちろん、日本もです。 食品衛生法って法律あるでしょ。使っても良い物質からその量まで、そこで細かく規定されています。
日本においては、「1Kgにつき350mg」ってのが残留亜硫酸塩の基準値。“これを越えるものは輸入販売しちゃダメよ”ってことです。
分析の結果、析出された亜硫酸塩は、その量を書く必要はないけど、「入ってますよー」って表示しないといけない。 その結果が、冒頭の裏ラベルの表示ってわけです。 じゃあその基準、他の国ではどうなのよ ってことで次へ。
~ 続く ~
※ 書く場所がなかったので、ここに追記という形で一言。
前回まで、そして今回と、亜硫酸塩の“添加”を巡るしっちゃかめっちゃかを書き殴りましたが、
この「亜硫酸塩」って、ワインが発酵する過程で自然に生成されるものです。
なので、“添加”しなくたって、分析すれば少量ではあれ析出されます。
発酵という化学反応で、酸化や細菌から守る物質が生成されるなんて、不思議なものですね。
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株式会社シェルドレイク 代表村山
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