ビオワインってなんだ 2
〜 前回続き 〜
さて、日本では規定のない「ビオワイン」ですが、ワイン文化のお膝元、EUではどうなってるのか。
EUにおける「ビオワイン」規定
EUには、“とりあえず”あるんですよ、「ビオワイン」規定。
というか、その「認証制度」ですね。
(※ちなみに、「ビオワイン」以前に、「ワイン法」が存在します。)
「Vin Biologique」(ビオロジックワイン)っていうんですが、EU直轄機関によるもので 一定の基準を満たすことで「ビオワイン」(Vin Bio)の認定を受け、ラベルに表示することが出来ます。
一定の基準っていうのは
- [栽培過程]:使用しても良い薬剤の項目、収穫方法に関すること、etc…
- [醸造過程]:各種の醸造方法、添加しても良い酸化防止剤や保存料の量・種類、etc…
と、様々な面で条件をクリアする事で、上の認証をラベルに付す事ができます。 「このワインはオーガニックなんだぞー」って声高々に言える、ってわけです。
「ビオワイン」規定 でも内情は
この認証制度、消費者に対する一定の判断基準を提示する、という意味では“ある程度の”評価は得られています。
な ん で す が
ワインの本場EUでの内情はどうなのかというと
めっちゃ 紛糾しました。
それは、生産者同士の考えの違いから始まり、評論家、ソムリエ、インポーター、愛好家に及ぶまで、世界中で争ってました。
(今だって、とある業者さんや愛好家さんが、ブログなどで「誰々はこんな事言ってるが、本当のビオ/自然派というのは~~~」なんて文章、ごまんとあります)
「ビオワイン」という言葉はなかった
前回軽く触れた、この「ビオワイン」ですが
むか~しから、自然と人に寄り添った農法・醸造でワインを造ってた人たち、当然いるわけですよ。
「ワインは自然の賜物」っていうような、確固たるヴィジョンをもって。 “誰かに決められた”わけじゃなく、「認証」とか関係なく、自主的に。
EUって広いですよね。
様々な産地がある。 ブドウの生まれる条件なんて、各国どころか、各地で異なるんです。気候・土壌・文化・etc…
だからこそ、このEUの「ビオワイン」規定は、長い時間をかけて、たくさんたくさん揉めて、“妥協点”を探した結果なんです。
上述の、昔から自主的に自然派であった生産者たちからすると、その“妥協点”は最小限のものであって、「中身なんてスッカスカだー」って思うわけです。
例えば
“亜硫酸塩などの添加量の規制が充分ではない”
“許可されている薬剤の範囲も充分ではない”
“結局は「オーガニック」をコマーシャルにしているだけだ”
のように。
で、この認証制度に関してだけでなく、「ビオ/自然派」自体の捉え方も、人それぞれにあります。
例えば
“亜硫酸塩はごく少量でも添加すれば「自然派ワイン」とは言えない”
“いや必要最低限の亜硫酸の添加は必要不可欠だ”
“濾過などの“人的介入”は「自然派ワイン」とは言えない”
“温度設定などしている時点で「人的介入」ではないか”
“自然酵母での発酵こそが「自然派」だ” ……etc
という具合に。
こんな感じで、内情は複雑極まるんです、この「ビオ/自然派ワイン」て。 まるで、宗教や政治の議論のように。 昨今、日本でも紛糾した「安全保障」の議論と似ているんじゃないでしょうか。
その他の認証制度
この「ビオワイン認証」ですが、上記のものはEUを包括的にくくるものですが
その他にも、世界各国で、多くの生産者団体が認証制度を行っています。
いわゆる「ビオロジック栽培」の生産者団体や「ビオディナミ栽培」の生産者団体、などなどなど
各団体がそれぞれ、独自の基準で禁止事項などを規定し、条件をクリアしたワインは、上の例に挙げたようなロゴマークやその旨をラベルに表示する事が出来ます(認知度はそれぞれ違いますし、信用度も人それぞれでしょう)。
あれ?
なんか、“業界の裏側”的な話になっちゃった感もありますが 、「近年ではこんな流れがありました~」的な感じで把握して頂けたら幸いです。
制度的な話は終えて、そろそろ「そのワインとはどんな風にできるんでっか」です。
~ 続く 〜
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株式会社シェルドレイク 代表村山
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