ワインの味わいを“評価する”上での視点
こんにちは私です代表です村山です。
ようやく全ての新入荷ワインの、販売サイトへの反映が終わりました。
実は、いくつかのお店にはもう既に販売していたのですが、一般の方々、お待たせしてしまい大変申し訳ありませんでした。
今回も自信ありなワインたちですぞ。きっとリピートしてくれるのでは、と期待。
ご興味のある方は、ぜひとも味わって頂きたい所存であります。
というわけで
本日は、『ワインの味わいを“評価する”上での視点』とかいう甚だ偉そうなタイトル付けちゃったりしてますが、特に大層な話は出てきません。
そして、「評価する」っていうのは、「このワインは〜〜という産地の〜〜って品種、年代は〇〇。味わいはまるで〜〜のような〜〜〜」みたいな、批評とかコメントといった意味ではありません。
ワインというお酒を飲む上で、どういう感じれば良いのか、どこを捕まえて好き/嫌いを判断すれば良いのか。口の中で何を感知しようとし、ひいては頭の中で何を考えてるのか。
そんな点について、今回の視察である学びを得た私なりの、評価のし方の一つを、参考程度に書いてみました、だから買ってね
という意味であって、それはそれは無責任かつ下品な熱き信念により書かれた文章をあなたは今読んでいますよ。
やっぱり良いですね、たまにちゃんとワインのお話を書くの。なんか、“いいことしてる”感があって。
ワインは嗜好品
結論から先に申し上げましょう。
美味しいと思ったらそれが正しいし
別に好きじゃないと思ったらそれも正しい
です。
「お前ふざけんなよ」って言霊たちが、PCモニター越しに襲いかかってくるかのようです。
今までもこのブログで色々書きましたけど
ワインって、歴史・文化・制度・栽培/醸造哲学…etcの塊みたいな側面が多いにあるんです。加えて、「ワインは上流階級の嗜み」っていう時代が長かったのも手伝っているんでしょか。
ワインの知識を語りたい人は語りたいし、興味のない人はそれを聞いても“小難しい面倒なお酒”というイメージが補完されていくっていう面が未だ多くある、と見受けられます。
でも結局は、大部分の消費者にとって、ワインはあくまで嗜好品です。美味しいと思うのも、好きじゃないって思うのも、全くの正解です。好みの上に成り立っているものですからね。音楽と同じです。
そして、ワインの評価なんて、基本的にそれだけで充分です。あとは、そのワインと共に良い時間を過ごせたか、そんなところでしょう。
しかしながらですね、単に「好き/嫌い」という基準にもう一つ、別の評価基準を意識してみると、ワインの感じ方が変わったり、その幅が広がるかもしれません。
ひいては、「“自分の好み”の意識化」→「自分なりのワインの選び方」というものが定まってくるんじゃないか。
そうなればいつか、「別にワインって小難しくないかもな」というように、フレンドリーに思ってもらえるじゃないか。
という、針の穴から差し込む程度に煌めく希望を胸に、この記事を書いてます。
あぁ、いいですね。この“いいことしてる”感。たまりません。
「ワインは嫌い・苦手」の原因の一つを考察
今回、新入荷した愛おしきワインたち。
今回に限りませんが、すべて、えっちらおっちらと現地のワイナリーを1件1件回って視察してきた結果な訳です。
で、今回の視察に赴くにあたって、私の中で特に意識していたことがありました。
「酸味」です。
常に酸味に注意し、全てのワイナリーを回り、試飲しようと。いっちょまえに。
今までワインを飲んできた方々で
「ワインが苦手」
「わざわざワインなんて飲まない」
のように感じる方の多くって、要は
特に酸味の部分を捉えて「美味しくない」って感じているんじゃないか
そんな分析をしたんですよ、勝手ではございますが。
ショップで買ってきたり、バルで飲んだりした時、そういう風に感じたことありませんかね?「すっぱい」とか「きゅーってする」とかって。まぁ要は美味しくないってことですけど。
もちろん、他にもワインを嫌がる要素ってあると思いますが、最たる部分の一つは、要するに酸味ではないかと仮定したんです。いっちょまえに。
※
私、当時ワインの勉強するのに、ちゃんとしたワインショップやレストランの“良いワイン”ばかり飲んでちゃダメだなと思い、居酒屋バルとかコンビニ・スーパーの安っっいワインも沢山飲んだんですよ。「絶対美味しくないよなぁ」って思っても、沢山飲みました。
実際に美味しくないものばかりでした。これ飲んだらそりゃワイン嫌いにもなるわっていう。
そんな経験もあったためでしょう、上記のような分析に至ったわけです。
(もちろん“安いからマズい”ってことではありませんよ、逆もまたしかり)
視察で学んだ“良いワイン”の基準
「特に酸味に注意して、美味しいワインを見つけようぞ」という野望を持って、意気揚々とヨーロッパに飛んだ私。
そこで、あるワイナリーに出会います。
先日このブログで、新しく入荷したワインのご案内を軽くさせてもらいましたね。
この記事で、ちょっとだけご紹介したワイナリー。こちらです。
オーストリアはブルゲンランドの家族経営ワイナリー。
個人的にすごく好きなワイナリーですが、個人様・飲食店様関わらず評判は上々アゲアゲなので、ようやく悦びと安堵が一緒にやってきたというところですよ。
このワイナリー視察時にも、もちろん色々なワインをたらふく飲んで酔っぱらって楽しんだ試飲したのですが
その最中にも、やはり上述の「酸味」部分に特に注意して、それらのワインを味わってたわけです。
しかし、このワイナリーでのお話で、はっとしました。
▲ワイナリーのテイスティングルーム
いくつかのワインの試飲を終え、私は醸造責任者の方にこう聞いてみました。
それに対し、彼はこう答えてくれました。
これを聞いて、それ以降の私のワインの飲み方・感じ方・評価の仕方、結構変わりました。
ワインの「バランス」とは
例えば、販売中のこのワイナリーの白ワイン。
このワインを生むブドウ、「ヴェルシュリースリング」という白品種。元々の品種特性としては、結構酸度が高いんですよ。
今まで飲んだヴェルシュリースリングも、個人的には好きでも、心の中で「あぁ、きっとこれを嫌がる人は多いだろうな」と思うことが多い印象でした。
だから、この「Welschriesling 2014」も、もっと“きゅっ”っとした、尖った酸味を感じても良いはずなんです。
でも、私はそれを感じなかった。
他のワインにも、全て、嫌な酸味を感じなかった。
▲このワイナリーの畑。収穫直前のブドウ
どういうことかって、酸度はあるんです、充分に。
しかし、もしも他の要素
- 例えば、果実味が失われていたら
- 例えば、甘味が足りなかったら
- 例えば、苦味を失っていたら
- もしも、アルコール度数が上がり過ぎたら
それぞれの要素のバランスは崩れ、途端にその酸味は攻撃的な、嫌なものに知覚されているでしょう。
逆に、各要素のバランスの調律が取れていれば、同じ酸度でも「美味しい」という方向に働く、ということ。
「酸味」ばかりを意識していた私。
しかし、「酸味がある/ない」という単純な話ではないんだ、と考えが大きく変わりました。伝わりますかね。
これを意識するのとしないのでは大きく違う。
上記の経験から少し時間が経った今、その考えがより強まってます。
本当、良い“気付き”を得たものです。
ちょっと違う視点で大きく変わるもの
そう、「酸度が云々」「糖度が云々」「タンニンが云々」じゃないんです。
例えば、「苦味の強い白ワイン」ってあるんですよ。私、このタイプ結構好きなんですけど。
でも、「あー独特の苦味で美味しい」って感じるワインと、「うわ、にっが」って感じるワインがありますよね。
この時、「苦味の強いワインだ / 苦味のないワインだ」ではなく
(苦味の強い品種特性を持った)バランスが非常に良いワインだ / バランスが崩れているワインだ(と私は知覚している)
というような感じで、口の中で、そして頭の中で考えます。
ワイン用のブドウ品種なんて、それこそ何千種類もあります。
そして、似ているものはあれど、それぞれ全てに独自の香り・風味・味わいがあります。「品種特性」と呼ばれるものです。
その味わいを細かく分析すれば
- 色の濃いもの / 薄いもの
- 酸度が高いもの / 低いもの
- 糖度が高いもの / 低いもの
- 苦味のないもの / 強いもの
というように、それぞれに個性があり、この個性がワインの味わいに違いを生みます。
そして、それを、同じく一人一人に個性がある人間が飲みます。
「好み」の分岐が生まれます。
でも、それを単に「好き / 嫌い」と断ずるだけじゃなくて、その上で、上述のように味わってみると
「こういう個性の“ワイン”なんだな」
「こういう好み(クセ)を持った生産者なのかな」
というような、もう一歩広い感覚で“評価”できるようになります。そういう気がしてるだけかもしれませんが、私には大きな大きな違いです。
これ、考えてみれば、 人間同士における評価にも同じことが言えますよね。
ワインに対してだけでなく、人に対しても、そういう人間でありたいものです。
……
というわけで
少し分かりづらいお話だったかもしれませんが、頭の片隅に置いといて、ワインを飲む際の参考にして頂けたらなと強く思う所存。
と同時に、「美味しいでござるよ。買ってね」という清々しいまでの宣伝を兼ねたワインのお話でした。
それでは皆様、良い「酒活」を
〜 本稿に出て来たワイナリーのワイン 〜
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株式会社シェルドレイク 代表 ムラヤマ
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